重陽(ちょうよう)
九月九日のことで、重陽節供(ちょうようのせっく)ともいい、九の重なった日で重九(じゅうく)とも呼ばれた。「九」という陽の数が重なることから、中国では、奇数を陽の数として、陽の極である9が重なる、九月九日は、大変めでたい日とされた。
中国では菊の花が長寿によいと信じられ、この日に酒に菊の花びらを浮かべて飲む菊酒の風習があった。菊酒は、延命長寿、邪気を祓う。
これが天武天皇(7世紀後半)の時代に日本に伝えられ、菊花の宴として宮中の例年の儀となった。
後鳥羽上皇〔12~13世紀)が、菊を、こよなく愛した為、以来、皇室の紋章に使われており、皇族に限らず菊を、デザインした紋章は、164点ある。
天皇家のみが、使用出来る紋章は、「十六弁八重表菊紋」である。
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江戸時代には五節句のひとつに加えられ、幕府では諸大名以下を出仕、登城させて祝うほど公的な年中行事であった。民間でもこれにならい、菊酒を飲んだり、栗飯を食べる風があり、更衣(ころもがえ)としてこの日から綿入を着るのが一般的であった。元禄時代(17世紀)には、200種類以上も、菊の種類があった。
菊は、日本文化に浸透したが、明治(19世紀)以降はこの日を祝う習慣は廃れ、現在では菊の品評会の催されることが多い日に、なってしまっている。
十菊・菊水・菊に一文字 (CC by-sa Mukai, https://ja.wikipedia.org/wiki/菊花紋章)
十六裏菊 (CC by-sa Kaustubh, https://ja.wikipedia.org/wiki/菊花紋章)
2015年9月