【裏千家インタビュー】JETRO 大久保 敦 所長
お仕事内容について教えて頂けますでしょうか?
- 日本と諸外国の貿易投資の振興促進です。
まずは、日本企業の皆様への海外輸出の支援、そして海外展開です。これは輸出だけでなく、ブラジルのように、現地でつくる活動の支援を行っています。代表的なものとして、最近では日本食や伝産品(伝統産業製品)があげられます。日本の伝統技術を活用したこれらの伝産品が、最近は生活用品としてさらに使いやすい形に進化していますので、そういった物を海外に売り込んでいくという仕事をしています。
また、対日投資も行っています。日本の雇用を増やすために、外国企業の誘致を進めています。
ブラジル文化の魅力について、どのような印象をお持ちですか?
- 多様な文化が融合しているのがブラジルの文化に思われます。アメリカでは、多様な文化は融合しにくい傾向にありますが、ブラジルの場合は、偏見が少なく、融合し、独自の文化が生まれていると思います。この多様性は、歴史的に言うと、コンキスタではなく、カルチベーションの文化が底辺にあって育まれているのだと思います。また、自由でありながらも文化的な秩序が保たれていると思います。
日本文化や生活習慣の違いで感じたことは、どのようなことでしょうか?
- 日本と比べてしまうと、すべてがきちっとしていない印象を受けました。すべて”Todo bem.”で済ませてしまい、その先を追求しない。例えばブラジル人は面談で待ち合わせても、遅れることが良くあります。輸送のインフラが正確でないという、歴史的な背景があるのかもしれませんが、そういったことに戸惑いを感じました。長く住んでいると、それが居心地よくなってくるのも確かですが。
日本文化についてブラジル人からよく聞かれることは、どのようなことでしょうか?
- ブラジルだけでなく、世界中で日本文化に対する関心が高まっています。このことは、日本が国際社会で経済的に実績を上げてきた日本の製品、食品や料理など、クオリティーの高いものを消費者に提供してきていることに関係していると思います。精巧で、繊細で、そしてユーザーフレンドリーな日本の製品。そこには、日本人の相手に対する気配り、おもいやりが根底に流れていると感じます。製品をきっかけに、なぜこのようなものをつくることができるのか、その背景となる文化的な要素を、学ぼうとする外国人が増えてきています。また、日本のアニメをきっかけに、日本文化に対して、興味を示している若者が増えてきています。
日本のビジネスをサポートする立場としては、日本文化のよさを浸透させていくことによって、日本製品に対する信頼感を高めることにつながるのだと考えます。文化的なことと、ビジネスをさらに連携させていきたいです。文化を伝えていくということが、日本の製品のブランドの評価、向上につながると信じています。
外から見つめ返す日本(文化)の印象はどのようなものでしょうか?
- 海外にいると特に感じるのかもしれませんが、日本文化が醸しだす柔らかな雰囲気は、非常に心を落ち着かせ、和ませてくれます。このことは、外国の方も同じように感じるようです。華道や茶道も同じかもしれませんが、日本文化には何か精神的なメッセージが含まれているように感じます。精神的ななごみがありつつも、律するところもあり、非常に自己を見つめなおすきっかけになります。
最後に、大久保様にとっての「座右の銘」を教えてください。
- 日本企業の皆様が、ブラジルでビジネスができるように、ビジネス環境を整備すべく、ブラジル側に働きかけたり、また、未開発の新たなビジネスに向けても、常にアンテナを張ることが必要に思います。ブラジルは不景気などと言われていますが、そういった中でも 様々なビジネスチャンスはあると思うのです。今までのやり方では通用しないかもしれません。ポジティブに知恵を絞って考え、ビジネスを創り上げていく。創意工夫で、日本の企業の皆様のお役に立てるようなサポートを、常に考えていかなければならないです。現状に甘んじることなく 創意工夫でわれわれのサービスというものを常によくしていきたいです。
着任早々、こころよくインタビューを引き受けていただき、ありがとうございました。
インタビュー: 2015年10月