5. おいしいコツあれこれ <えんどう豆、青み野菜>
今回はえんどう豆、青み野菜のゆで方を取り上げます。
茹でたえんどう豆は少しずつ水を入れて冷やす
まず、えんどう豆を彩りよく軟らかくゆで上げるには、さや付きのものを買い求めること。
そして使う直前にさやから出して豆をボウルに入れ、塩を軽くまぶしてしばらく置いてから、熱湯で塩ゆでにする。ゆでるときは、軽く豆がおどるぐらいの火加減にすることと、落とし蓋をすることがポイントで、そうすれば豆にしわが寄るのを少しでも防ぐことができる。
次に、軟らかくゆで上がったえんどう豆を水でいきなり冷やすと、表面にしわが寄ってしまうので、水道の蛇口から少しずつ水を落としながら冷ます。こうすれば豆が徐々に縮むので、しわが寄らない。落し蓋の上から水道水が細く落ちるようにする。
豆が硬いときは塩ゆでするときに重曹を加える。そこまで硬くない場合は、ゆで上げる直前に重曹を加えて火を止め、しばらく置いておくと、軟らかく仕上がる。非常に硬いときは、ゆでる前に重曹と塩をまぶして数分置いてから塩ゆでするという方法もある。軟らかい豆でも、ゆでたあと薄皮を取ると、皮が口に残らずおいしい。
蜜煮にするときは、シロップで煮ずに、漬けこんで甘みをしみ込ませる。最初から濃いシロップに漬けるのではなく、一日おいて次に汁だけ取り出し、砂糖を加え濃くして又漬けこみ一日置いてと何度か漬け替えるようにする。
青み野菜はゆでたあと冷めただし汁に漬けておく
青み野菜は鮮やかな緑色とシャキッとした歯ごたえが命である。加熱し過ぎると水分が抜けるため、身がやせて繊維が目立ってしまい、口当たりが悪くなる。
だから青み野菜に味を含ませようとして、だし汁で煮てしまうと、色の悪いぐんにゃりしたものになって、せっかくのみずみずしさがだいなしになってしまう。
そこで青み野菜はさっと塩ゆでしたら、冷ましただし汁に漬けこむ。このだし汁は「八方だし」といい、材料に下味をつけるのによく使うだしである。一番だしにみりんと醤油(だし8:甘み1:醤油1)で調味するのが一般的。甘みを出したければ、濃い口醤油を使い、色を出したくなければ薄口醤油や塩を使うというように変化させる。
また、家庭でわざわざこのために八方だしをつくるのが面倒であれば、ゆでた野菜に醤油をタラタラとかけ、軽く絞る。「醤油洗い」といって、これだけでもよけいな水分が取れて下味が付き、盛りつけの仕上げにかつお節をかければ水っぽい仕上がりにならない。当地でサラダに使うアグリオンはその後胡麻で和えると美味しい。
その他青み野菜の色と歯ごたえを損なう失敗の一つは、ゆで過ぎである。ゆで過ぎを避けるためには、たっぷりの熱湯を用意することとである。たっぷりの熱湯を使うと、材料を入れても湯の温度が下がりにくく、短時間でゆで上げることができる。またこのとき加える塩は水の分量の1.5%で、水2Lに大さじ2の割合。意外に多い気がするが、塩は塩味を付けるというより材料そのもののうまみを引き出したり青い色をより鮮やかにする働きがあり、それにはある程度の分量が必要なのである。
次にゆでたらすぐ冷水に取る。すぐに冷やさないと、余熱で色が変わってしまう。また冷水に落とすとアクが抜けるので、風味もよくなる。ただし長くつけすぎると、味や栄養分が逃げてしまうので、冷えたらすぐに上げる。
2016年2月