~ 一盌からピースフルネスを ~

ブラジルの植物 2. キリストの涙

本年より「ブラジルの植物」について再開いたします。

ブラジルの植物と言っても、原産地のものはそんなに豊富ではありません。でも、気候風土に恵まれているので植物や草花は育ちやすい環境にあります。ですから、世界の国々の植物がブラジルでのびのびと育って、きれいな花をたくさん咲かせます。その中で茶花に使えそうな花があれば飾ってみて楽しんでください。

今回は夏に盛んに咲く「キリストの涙」Lágrima de Cristoの花を紹介します。

キリストの涙というのはポルトガル語名で西アフリカ原産です。この名は、キリストが十字架で苦しんでいる時の血の涙に似ていると植物学者が付けたそうです。

学名はClerodendrum thomsoniae。 Clerodendrum はギリシャ語で「運命」の意味 “Cleros” と、「樹木」の意味 “Dendron” という言葉が語源になっています。和名はゲンペイカズラ(源平葛)で別名ゲンペイクサギ、シソ科 クサギ属です。

ゲンペイカズラは赤色の花と白色の萼が対照的で美しく、真っ白な萼の下から赤い花が顔をのぞかせている、鮮やかな花です。源平の合戦の頃、源氏は白旗、平家は赤旗で戦ったことにちなんで、「源平」という名前がついたようです。萼がピンク色のものもあります。クサギの仲間のため、和名(日本の植物学の正式な名前)はゲンペイクサギですが、臭い木という意味で印象が悪いためか、一般的にはゲンペイカズラと呼ばれているようです。カズラというのははツル性の植物という意味です。初夏から秋まで長期間開花する常緑のつる性植物で、一般にはあんどん仕立ての中型の鉢物として流通します。葉に白斑が入った‘バリエガツム’も出回ります。格子で生け垣を作ったり、釣り鉢などにとてもふさわしいです。

2021年2月