~ 一盌からピースフルネスを ~

 茶の湯では、湯を沸かす道具のことを釜と言い、茶の湯を代表する道具です。風炉、炉いずれにも用いられ、大別して小ぶりのものは風炉用に、大ぶりのものは炉用に用いられます。

 釜は、茶の湯の象徴であり、茶席全体の品位や亭主の茶道心をも示す要具であります。

 釜の材料は鉄の鋳物いものです。蓋はつまみがついており、唐銅蓋からかねふたが一般的ですが、釜と同じ鉄製の共蓋もあります。

 現在茶席で主に使われる釜を作風から分別すると、芦屋、天明てんみょう、京作、関東作の四つに分けられます。芦屋釜は現在の福岡県芦屋町で作られたもの、天明釜は現在の栃木県佐野市で作られたものです。京作釜は京都で作られたもの、関東釜は江戸を中心に作られたものです。

 形状から分別すると真形しんなり、丸、筒、四方よほうなどを始め、阿弥陀堂釜、蒲団釜など多種多様です。またその口造りによっても、つる首、うば口、こしき口などいろいろあります。

 このように釜の種類と名称は何百種にも上ります。

 

2019年10月