古帛紗と裂地-緞子/道元緞子-
ここでは、主に裏千家の薄茶席にてお客様へお茶をお出しする際、茶碗の下に敷いて使用する古帛紗について、その裂地の歴史、織りの種類や文様をご紹介していきます。
普段は袱紗、懐紙と共に懐中していますが、柔らかで様々な色柄のある古帛紗をお茶椀に添えることで、お茶席が一層華やぎます。
古帛紗の大きさは袱紗の約1/4程度で、男女による色の決まりは厳密には決められていません。古帛紗に用いられる布のことを裂地といい、中でも特に豪華さや技法の緻密さに優れ、伝来に由緒のあるもの等を名物裂と呼び、その高い芸術性から鑑賞の対象となってきました。そのため茶入の仕覆としても多く使われています。
裂地の名称と種類
織りの種類には、緞子(どんす)・金襴(きんらん)・間道(かんとう)・錦・紹巴(しょうは)・モール等が挙げられます。この回では、これらの中の緞子織りについて取り上げ、代表的な名物裂の一つである【道元緞子】をご紹介したいと思います。
緞子織り
縦糸と緯糸にそれぞれ異なる色糸を使い、朱子織を地組織に(多くは縦糸と緯糸を5本ずつとる五枚朱子)、地の裏組織を文様として表出した絹織物です。しっかりとした厚みと柔らかさ、また光沢感のある生地が特徴です。
(朱子織とは「織物の三原組織:平織・綾織・朱子織」の一つで、縦糸と緯糸の交差が少なく、片方の糸の浮きが多い織り方。織上りは連続ではないが、規則的にぽつぽつと表に線が出る。)
五枚朱子 | 模様を作るとき | |
出典:Chanoyu Quarterly #17 |
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織物三原組織 | ||
道元緞子
織りは先程の緞子織り。曹洞宗の開祖・道元の袈裟の裂地が由来とされており、裂地は中国・宋時代に織られ、14世紀に日本に渡ってきたものとされています。蝶と花をつけた小花唐草が左右に伸びている文様です。
2017年3月