古帛紗と裂地-紹巴(しょうは)-
今回は紹巴(しょうは)という種類の織物をご紹介します。
紹巴織は紋織物の一種です。この織物の特徴は、経糸・緯糸ともに強い撚りのかかった糸を使用しており、また基本となる織り組織が細かな横の杉綾状(現代では英語のヘリンボーンの方が、馴染みがあるかもしれません)、もしくは山形状をしていることです。
名称の由来は定かではありませんが、一説に、千利休の弟子であり連歌師であった里村紹巴が織物を愛し好んで収集した品々をそう呼んだと言われています。
かつては羽織裏として用いられていたこともあります。生地は薄手で柔らかく、手触りの良い織物です。
宝散らし唐子文様紹巴(たからちらしからこもんようしょうは)
二種類の唐子文と、大きな霊芝雲と蓮の花が交互に配置されていることが印象的な裂地です。間に宝尽くし文も織り出されています。唐子文の一人は手に七宝の様なものを通した長い紐を持っており、もう一人は頭上に蓮の花をかかげています。
唐子文とは、唐の子どもを模した文様のことで、具体的な外見の多くは髪の毛を中央と左右を残して剃り落とし中国服を身に着けています。
瓔珞文紹巴(ようらくもんしょうは)
瓔珞(ようらく)とは、珠玉や貴金属を紐で通して作った首飾りなどの装身具のことで、古くはインドの身分の高い人たちが身に着けていたものが仏教にも取り入れられたと言われています。そのため仏像や寺院内の装飾としても用いられます。サンスクリット語のムクターハーラ(真珠の首飾りの意)が語源とされています。この瓔珞をモチーフとした文様が全体に配されている裂地です。
鵬雲斎家元好 宝尽唐草紹巴(ほううんさいいえもとごのみ たからづくしからくさしょうは)
鵬雲斎家元の古稀にちなんだお好み裂の一つです。黄と赤の地色があり、全体に二重蔓唐草文が配されており、その内側に宝尽くし文と橘文が織り出されています。
2018年10月