和の文様-唐草-
今回の文様のテーマは「唐草」です。
唐草文様とは、蔓性の植物が絡み合い、うねるような曲線状で描かれた文様の総称です。蔓と共に他の植物や動物が一緒に描かれることも多いです。また、唐草文様の起源はもとは古代ギリシャのパルメット(ナツメヤシの葉)やエジプトのロータスとされる説もあり、それらが中国を経て日本へ伝わったと言われています。
【唐草文】
最も一般的なタイプの唐草文様で、連続性のある蔓に少し葉が生えたごくシンプルな文様です。泥棒が背負っている風呂敷の模様や、獅子舞の胴体部分を覆っている布の模様、というとイメージがつきやすいかと思います。
【宝相唐草文(ほうそうからくさもん)】
宝相とは宝相華(ほうそうげ)のことです。これは牡丹、芍薬、芙蓉など美しい花の部分を取り出し組み合わせたと言われる、空想の花のことです。仏教美術にもよく見られます。宝相華は唐草と一緒に描かれることが多いため、唐草文の一つとされています。
【瑞鳥唐草文(ずいちょうからくさもん)】
瑞鳥とは鳳凰のことで、中国では昔から平和な治世時に現れるとされている。そのため唐草に鳳凰をあしらったこの文様は、吉祥文様の一つとなっています。
【葡萄唐草文】
これは葡萄の実、葉、蔦をモチーフに唐草文とした文様です。この文様の歴史は古く、古代エジプトや古代ギリシャでは葡萄は豊穣と祝祭を意味して、壁画などに葡萄の蔦を唐草文のように意匠化したもの見られます。また中国でも同様に、沢山の実をつける葡萄は豊穣の神とされたそうです。
【蓮唐草文】
蓮の花を唐草文に組み込んだ文様です。この文様の起源はエジプトとされ、ここでは蓮の花は聖なる花とされていました。現在も、エジプトの国花は蓮です。また、仏教とも深い関わりのあるこの花は、仏教装飾にもよく見られます。
2020年5月