~ 一盌からピースフルネスを ~

和の文様-雲-

今回の文様のテーマは「雲」です。

ブラジルは冬ですが、日本の季節は真夏。入道雲をみて夏らしさを感じる方も多いのではないでしょうか。天候により様々な姿形へ変化し、穏やかであり荒々しくもある雲は昔の人々にとって吉凶を占う対象となっていました。古代中国ではこのようなことから雲は吉祥を示すと敬われ、雲をモチーフとした吉祥文様が生まれました。日本でも同様のことが見受けられます。

 

【瑞雲文(ずいうんもん)】
瑞雲とはおめでたいことが起こる前兆に現れる雲のことです。この他に飛雲、流雲など様々な呼び方がありますが、吉祥文様としての雲文様を瑞雲と言います。

【霊芝雲文(れいしぐももん)】
中国の神仙思想にでてくる仙薬でキノコの一種のものを霊芝と言います。日本では万年茸と呼ばれています。このキノコの形に似た、渦を巻いたような雲を霊芝雲と言います。
名物裂の富田金襴は、この霊芝雲文をあしらったものです。

【雲取り文(くもどりもん)】
空に浮かぶ雲の様子を意匠化した文様です。雲の輪郭をかたどったもの、色彩をつけたものなどあります。雲の周囲や中に草花、幾何学模様などをあしらったものも雲取り文です。

【雲鶴文(うんかくもん)】
流れる雲の合間を優美に飛翔する鶴を文様化したものです。元々、鶴は吉祥を表すモチーフとして親しまれており、雲と合わせることで格調の高い古典的な文様となっております。

2020年8月