~ 一盌からピースフルネスを ~

和の文様-梅-

 今回は松竹梅のうち最後の「梅」についてご紹介します。

 一年の初め、まだ寒さが残る季節に他のどの花よりも先に咲くことから「梅は百花のさきがけ」と言われ、その愛らしい姿とかぐわしい香りから古くより日本人に親しまれてきました。また、学問の神様で有名な菅原道真は「東風吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて 春を忘るな」をはじめ梅にまつわる和歌を多く詠み、このことから天満宮の社紋には梅の花が使われています。こうした社紋や家紋の他、着物、帯、和菓子や和雑貨など様々な形で梅の文様は取り入れられています。

【捻梅(ねじうめ)】
花びらを重ねて中心を捻じった形をしている文様です。名前の由来もここから来ています。単純化された中にも梅の可愛らしさが表現されている文様です。

【梅鉢】
梅の花を上から見た形を五つの点にして表した文様です。中心にも一つ点をおき、花びらの点と中心の点を線で繋いでいます。千利休も好んだ文様で、これをあしらった裂地を利休緞子と言います。

【槍梅】
梅の花や蕾と枝を描いた文様です。枝は若く槍のように真っすぐに伸びているのが特徴です。

【光琳梅】
江戸時代の著名な画家・尾形光琳が大胆に意匠化した梅の文様が、しばしばこう呼ばれます。屏風や硯箱など様々な作品に残されています。また、国宝「紅白梅図屏風」では上記の槍梅の表現も見受けられます。

【梅に鶯】
前回の「竹」でご紹介した「竹に虎」「竹に雀」と同じく、取り合わせの良い二つのものという意味で表現されます。万葉集では春の歌として、この二つの題材がしばしば取り上げられました。

【梅鉢(利休緞子)】       【槍梅】         【梅に鶯のイメージ】

【風呂敷、着物、髪飾りなどにあしらわれた梅模様】

 

2019年6月