もったいないの日本文化 ~ 自然の素材・竹 Ⅲ
4月30日にオープンしたサンパウロの「ジャパンハウス」の第一回目の展示会は、『竹』がテーマになっている。
一階の入り口付近には、竹林であり、青竹の茶室ともいえる、異次元空間が出来ている。中に畳6枚が引き込んであり、天井には『竹取物語』のアニメが映し出されている。今回紹介したいと思っていた、花入れや数々の竹製品が、二階には並んでいた。 傘や筆の軸、虫かご、おむすびを包む竹皮等、日常に身近に、竹製品は存在している。
この他にも、竹の葉を粉末にしたものを、「竹葉ちくよう」といい、漢方薬の生薬(利尿作用がある)として利用されている。竹を炭焼きがまでやき出来た「竹炭」は水道水の水質改良や消臭剤として使われる。
陳舜臣という作家の『竹に思う』の中から、竹についての文学的な表現を、引用させてもらい『竹』の項目を終わりとしよう。
中国の文人は、竹のことを、――剛ならず、柔ならず、草にあらず、木にあらず――といったという。既成の範疇におさまらないところが、竹の特徴で、珍奇ではないが、かといって凡庸でもない。しかも人間の生活のすぐそばに存在している。そのような竹の雰囲気が、近くにいる人間の心の深いところまでしみこみ、俗気を抜き去ると考えた人もいたようだ。
竹のさわやかな青々した色は、水墨画、朱竹画には又違った趣で描かれる。
蘭、菊、梅、竹を「四君子」と呼び、唐以来。絵画のテーマとされたのは、その気品の為であり、竹は雪を負い、霜を懐にしても、その青さを変えない貴重さによる。
2017年7月