もったいないの日本文化 ~ 「金つぎ」「古民家」
【金つぎ】
金継ぎとも書きます。やきものの器は、さまざまあります。
普段使いの茶碗から、高価なものまで。これらを割ってしまった時、日本には伝統的なやきものの修理方法があり、「金継ぎ」といわれます。
これで修理すると、傷も気にならなくなり、しかも修理前より美しい姿になります。
もともと金継ぎは、室町時代に花開いた茶の湯文化と共に発展してきました。価値の高いもの、美術品の器が割れたり、欠けたりした時の修理として始まったと考えられます。
金継ぎとは、割れた部分を漆で接着し、その割れた部分に沿って、金を装飾していく修理方法です。漆は、乾くのが遅く、10日から15日はかかります。
この接合部分に、金の粉をまいて乾かし、更に漆を塗って、かわいたら仕上げのみがきをかけます。
金粉の代わりに、銀粉を使った「銀つぎ」、金に銀を20%混ぜて白っぽい色にした「青金」、更に銀を増やした「水色金」、白金(プラチナ)を使った物などがあります。この偶然の中に、美しさ、面白さなどを見出し、風流や遊び心を楽しみ、微妙な変化を賞翫するのも、日本伝統文化であり、先人たちの細やかな感性がうかがわれます。
この割れや欠けを修理したところを、マイナスではなく、プラスの長所でみる発想は、「もったいない」というより逆転の発想ともいえましょう。
現在日本では、「金継ぎ宗家」といわれる方が、この金継ぎの技法の教室を開いておられ、”東急ハンズ”でも「金継ぎ初心者セット」を販売しています。
《金継ぎの茶碗》
有名な豊臣秀吉所持の大井戸〔筒井筒〕や本阿弥光悦の〔雪峯〕などがあります。
【古民家】
古民家とは、どの時代に建てられたものなのか、あるいは建築され何年を経たのかの定義はないのですが、通常は戦前のもの、特に大正以前のものをさすことが多く、建築様式は、釘などを使わず、木材、竹材、土、わら、かや、和紙などの天然素材で作られています。
このように伝統的な方式で建てられた建築の特徴として、その耐久性が、現在見直されています。メンテナンスを怠らなければ、200年、300年持つといわれています。京都市の美山、新潟や、岐阜の白川郷の合掌造り等、全国あらゆるところに点在しています。この古民家は、交通不便な地形にある為、過疎化の進む日本では、住む人がいないとの問題もあります。
が、2020年の東京オリンピックを控え、外国人にも人気の高い貴重な資源の古民家は、「民泊」への再生につながるのでは、との期待感も生まれています。
昔は、その使用目的は、農家、庄屋屋敷、商家、武家民家、建屋屋敷、曲屋等でしたが、現在では、その利用方法としてアートギャラリー、古民家カフェ等にリフォームされ、使われています。
(もったいないの日本文化―「灰」の古民家を参照)
2018年10月