忘れられない一日
ヴァーデルソン・宗智・デ・ソウザ
西洋の現代社会の思想はほぼ古代ギリシア文化からの流れといえる。その中で「時間」のコンセプトは次の二通りである:クロノス(Χρόνος, Khronos)はカレンダー上の時間、時代の時間である。カイロス(Καιρός, Kairos)は驚くべき、注目すべき出来事の時間、更に好機、好都合の、最高の時間である。
我々は皆この長い人生の中で様々な出来事に出会う。例えば卒業式、結婚式、出会いや別れなどの強い影響のある出来事は、その前の人生とその後の人生とに、はっきり示される。
パンデミック最中の2020年5月、私にもこのようなことがやってきた。One World Midorikai Chakai ブラジル(部門)の三名の亭主の一人になった。この茶会は裏千家茶道メンバーの世界
レベルの会であった。
五月一日の金曜日の午後10時に始まり、日曜日五月三日の午後6時で終了した。お点前はオーストラリアで始まりハワイで終わり地球を一周した。茶の湯で歴史を刻み、茶道の伝統を新時代に突入させた。
この茶会に参加できて光栄であり幸せを感じた。雰囲気づくり、そして日本とブラジルのつながりを象徴できる道具選びをしたいと願って努力した。鮮明な黄色の茶碗のラク に緑茶を入れ、撓(た)めの部分が青色の茶杓で出し、ブラジルの国旗を象徴する要素を道具に重ねた。このすべてを世界中の皆様と共有でき、誠にこの瞬間、裏千家の一員なのだ、茶人なのだと感じた。
当日の掛け軸は「和敬」<ハーモニー&リスペクト>。この時期こそ尊敬を常に課題にし、調和を求める時だ。私の今日のテーマであり、人々が一生求めるべきことだと思う。
毎日は生きている甲斐があり日々是好日である。さらに掛け甲斐のない、特別な価値ある稀な日もある、<カイロスの時間>。あの秋の一日、忘れられない一日になり、私の時間を深く刻んでくれた。