13. 風
「風」という言葉から皆さんは何を思い起こされますか。そよ風、暴風雨など色々ありますね。私たちの身近な生活では、タンポポなどのように、風による種子散布を行うものがあります。また、人工的に風を発生させて体温を下げる扇風機や団扇扇子などが利用されています。エアコンなどの空気調和設備では、気温や温度だけでなく風(気流)の制御も重要です。室内に風を取り込み空気の流れを作って効率よく換気することでよどんだ空気や病原菌などのリスクを下げることも出来ます。
一方、古来風という言葉には眼に見えないものを象徴するためにも使われています。例えば選挙において「無党派の風が吹いた」とか「逆風が強かった」などに使われます。芸術やファッションなどにおいて○○風(ふう)というのもこれかと思われます。
風による災害は風害と総称されますが、水害と併発することも多く、まとめて風水害と呼ばれています。暴風雨になることが多いです。
私たちは古来より現代にいたるまで風の力を生活に利用してきました。風車、風力発電、帆船など地球温暖化防止の観点からもますます利用が進められています。
風は自然現象の代表的なものの一つであり、伝承や信仰において神格化されることもあります。「風神」と呼ばれています。
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次に風という字の成り立ちを紹介します。
昔は、大きな鳥の姿をした神様が羽ばたくことによって風が起こると信じられていました。その鳥の姿から「鳳(おおとり)」の字ができ、「かぜ」を意味しました。ところがやがて、大きな風を起こすのは鳥形の神ではなく竜形(虫)の神であると世界観(考え方)が変わったため、現在の「風」となったということです。
甲骨文字の形は、鳥の形を写した形でした。神聖な鳥ですので冠飾りをつけて、鳳(ほう:「ほうおう」の意)の字のもとの形と同じです。のちに鳳の中の鳥をとり、爬虫類の虫を加えて風の字が作られました。
2021年9月