~ 一盌からピースフルネスを ~

11. 花

(前回までは漢数字の一から十までを取り上げましたが、今回からは漢字一文字ずつご紹介します。
 日本語に「花鳥風月」と言う四字熟語があります。現在では美しい景色、風景を指したり楽しむという意味で良く使われていますが、もともとは貴族や武家が自然な景色を鑑賞し、詩を楽しむ遊びのことをこう呼んでいたようです。この四文字を紹介したいと思います。)

 自然は赤や黄色、青、紫、白、ひいては黒い花など色々な花を咲かせて、私たちの生活を潤してくれています。美しさの象徴として愛されるだけでなく、香りを楽しんだり、食用にまで供されて、私たちは古今から花を愛でてきました。日本では「花」と言えば桜を指しますが、それは一斉に華やかに咲き、そして瞬く間に散ってしまうことから、物のあわれを感じる日本人の感覚にぴったりの花だからでしょう。しかし四季のはっきりした日本では折々に色々な花が一年中咲きます。次にいくつかの花を写真で紹介しましょう。

 

 次に花と言う字の成り立ちを示します。

 

 日本では生花を活けてかざる生け花は華道として茶道に並び広く愛されてきています。色々な派によって様々ですが、花の美しさや華やかさを十分に引き出して人々の生活を潤しています。

 私たちの茶道でも花はとても大切に扱われています。華道の花とは少し趣が異なり、利休七則には「花は野の花のように」とありますように、なるべく簡単に1種、2,3種までを花のあるがままの姿をこわさずにかざることが求められている。茶室の花は「茶花」と呼ばれ、茶花は生けるとは言わずに入れると言います。

2021年3月