花見よりかえりの人に茶の湯せば 花鳥の絵をも花も置まじ
同じことを何度も繰り返されるとさすがにくどい、しつこいといわれることがあります。どんなに楽しいことでも、何度もそれが重なる嫌気がさるのも仕方のないことでしょう。
花見に行って来た、という人を客に招くのに、床に花や鳥の絵の掛物を掛けて、前に花を生けても、本当の鳥の声を聞き、咲き乱れた実物の花を見てきた人にとってはご馳走にはなり得ないということを示しています。
これは、桜の花の咲く頃の月例茶会の取り合わせでも同じことです。桜が咲いているからといって、ただ単に、桜の絵を掛けたりしたのでは工夫がありません。例えば外景の実物の桜に関連した道具を取り合わせるようにすれば、席中の道具も生きてくるし、外景の桜も一層くっきりと浮かびあがってくるのではないでしょうか。
2016年4月