湯を汲むは柄杓に心つきの輪の そこねぬように覚悟してくむ
柄杓の合(ごう・湯を汲む円筒状の部分)と柄(え)とがつなぎ合ったところを「月の輪」とか「月形(つきがた)」といいます。ちょうど半月形になっているところで、ツキノワグマの首辺りにある白い半月形(月の輪)から名付けられたと思われます。
この合と柄の合わせ目は、ただ差し込んであるだけですから、湯を汲んだり水を汲んだりするときには、よほど注意しないとその合わせ目がゆるんで、湯や水が漏れるようなことがあります。
炉の点前で柄杓を釜に引くとき、力が入りすぎると、柄杓の合で釜の口を押すようになり、月の輪がゆるむことがあります。
また、唐銅の建水に、柄杓の合をのせて運び出すとき、すべって柄杓を下に落とすことがあります。これも月の輪をゆるめる原因になります。
よって、心して、覚悟して取り扱いましょう。
2016年8月