水と湯と茶巾茶筅に箸楊枝 柄杓と心あたらしきよし
「水」は水屋壺の水、水指の水、釜の水。「湯」は釜の湯。「茶巾」は茶碗を拭くもの。「箸」は懐石箸、菜箸、塵穴(ちりあな)の箸など。「楊枝」は杉楊枝、黒文字など。「柄杓」は釜用、つくばい用、水壺用など。これらは茶会のたびに、新しいものを用います。これはいうまでもなく客に対するご馳走、そして敬礼のためです。利休がかってある茶人から、茶事に用いる道具を求めてほしいと依頼されたとき、新しい茶巾を送り、「これさえあれば茶事ができる」と教えました。この歌の趣旨と同じことです。「心あたらしき」とは、主客とも和敬を保つには、いつも初対面のように礼儀正しくなければならないということ。
昨日会った人でも、今日初めて会った人のごとく、心をあたらしくして接してこそ、和敬の気持ちがわいてくるということ。
常に新鮮な気持ちで、というこの教訓は、身が引き締まり、物事に対し大切な心構えです。
2017年3月