点前には弱みをすててただ強く されど風俗いやしきを去れ
この道歌は、点前の心を教えています。
点前は、やわらかくしとやかにするものだと思われがちですが、線の弱い姿ばかりの点前は、招かれている方もはりがありません。しかし、あまり力が入りすぎてこわばったものも、決して良いとはいえません。力が入りすぎると、つい緊張しすぎて、こちこちの点前になりがちです。その反対に、点前を美しく見せようとすると、すべての動作が弱々しくなるものです。緊張を解くためには、まずは気持ちをやわらげることです。
いいかえると、気持ちは弱く、動作は強く。このように考えれば、弱くも強くもない中庸を得た点前ができるのではないでしょうか?
2017年5月