~ 一盌からピースフルネスを ~

点前には重きを軽く軽きをば 重く扱う味わいをしれ

 昔、家元の業躰になると、宗匠の教え方は厳格を極めたものでした。あるときは、空の水指を、さも水を満たしたように持ち運びをさせ、ま
たこれと逆に、水を満たした水指をさながら空のそれのように持ち運びをさせて、そればかりを何度も繰り返させたといいます。

 ここで、味わいを知れとありますが、それは、自分の指先を自分の心のままに動かすということです。自分の指先に自分の心を置いて、その心を自分の目で追うということです。眼で追うことによって自然にお点前が流れてきます。自然と使っていない方の手にも心が残っているわけで、そういう味わいを知れということです。

2017年7月