柄杓にて湯をくむ時の習には三つの心得あるものぞかし
この歌は、風炉の柄杓の扱いがテーマです。
三つの心得の一は、湯や水を汲むときは、十分目まで汲まずに、九分目くらいまで汲むようにします。
二は、湯の底の方を汲み、水は中央を汲むということです。湯は沸騰すると膨張し軽くなって上へあがるから、湯の中の垢などが一緒になってあがってきます。そこで底の湯が清浄ということになるのです。反対に、水の垢は下に沈み、軽い垢は上に浮いてくるのです。水は中央を汲むというのです。
三は、「油柄杓(あぶらびしゃく)」と称するもので、柄杓の位置が釜の口、水指の口、茶碗の口、釜の上から上がりすぎるのを戒めています。
油柄杓とは、昔、油屋が他の器物に油を移し入れるとき、タラタラと柄杓から油を流し入れつつ柄杓を上にあげていった、その様子に似ているから
いわれるようになったとのことです。この油柄杓の動作を戒めています。
2018年12月