右の手を扱ふ時はわが心 左の方にあるとしるべし
この歌は、使う方の手に全身全霊をこめるのではなく、使っていない方の手にも必ず心を置くようにという教えです。いわゆる、すきのない姿ということでしょう。
歌の中には手を扱う時のことを挙げていますが、実際にお茶を差し上げるときには手はもちろんのこと耳も口もききながら、あちらにもこちらにも自分の心を置いてやる必要があります。そうするためには、無意識のうちにお点前が出来るように努めないといけません。それには点前を重ねることしかないといえるでしょう。
茶の湯の稽古というのは、修練の積み重ねであり、繰り返し同じ動作を行うことで、技、心を鍛えていくものです。
2020年6月