茶と食養生 1. 五行説について
今回新しい試みとして、「医食同源」をテーマに、『茶と食養生』の項目を立ち上げました。シリーズとして順にご紹介いたします。
2020年代 新たな時代の幕開けとともに全世界を覆った新型コロナウイルスによる悲劇。なかなか見通しのつかない現状に皆が胸を痛めています。
最先端の医療技術に望みを託すのも大事ですが、まず個々の免疫力を高めていくことに注目してみませんか?
西洋医学とはちがい、東洋医学 特に漢方そして薬膳療法はドラスティックに症状が改善するわけではありません。しかし日常生活に意識して取り入れることにより免疫力は向上ししなやかな健康が培われるのです。
茶道と密接な関係にあるお菓子の材料にも薬膳効果のあるものがたくさんあります。
複雑な薬膳の世界ですが、お菓子や懐石に用いられる食材を簡単ですがご紹介し、皆さまの健康に役立てていければと思います。
1.五行説について
陰陽五行説とは、古代中国においてうまれた自然哲学の概念で、万物は「陰・陽」の二気、「木・火・土・金・水」の五行で成り立ち、
これら陰陽五行の要素で世の中は回っているという思想です。
五臓六腑五穀豊穣などという言葉もなじみ深いですし、五節句を祝うのも日本人ならでは。
茶の湯における五常(仁礼信義智)にも反映されており我々日本人の生活文化にも密着した概念とも言えます。
この五行は色で表される場合は「青・赤・黄・白・黒」の5色となっています。
「木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒」です。
お寺や神社にも多く見受けられます五色布が思い出されるのではないでしょうか。
五行説は季節も当てはめられており、春夏秋冬が「木・火・金・水」にそれぞれ対応し、以下で定義されています。土は「土用」季節の変わり目に充てる考えもあれば、中国での高温多湿の厳しい夏になぞらえ長夏とあてる場合もあるそうです。
そして食の世界。
味も五行説に相応して「五味」とし、木=春=酸味、火=夏=苦味、土=梅雨=甘味、
金=秋=辛味、水=冬=塩辛味となっています。
食材の観点からでは温熱平涼寒という五つの性質に分けられ、これを「五性」といいます。
例えば、寒性や涼性の食材(西瓜、ゴーヤ、トマト、そば、なす、きゅうりなど)を取ることによって体の熱を取ったり、温性や熱性の性質を持つ食材(とうがらし、生姜、酒、鮭、玉ねぎ)で体を温めたりすることができます。
平性は温めも冷ましもしない性質で日常的に食べられている穀類などが多いです。
余談ですが、日本人が土用の日にこぞっていただく鰻は体を温める熱性の食材よって冬に食す方が理にかなっているそうです。
いづれにしても旬の食材を取り入れ偏りなく用いることが大切です。
色々述べてみましたが、この五行説をバランス良く日常生活に取り入れていきたいですね。
2022年4月