【裏千家インタビュー】日伯文化連盟 (ACBJ) 大城幸夫会長
【履歴】
1975年、大学法学部卒業、翌年、連邦警察官国家試験に合格し、首都ブラジリアにて連邦警察アカデミー卒業。
連邦警察署長として昇進を続け連邦警察最高指揮官(同組織の最高階級)に任命される。特筆すべき職務として、サンパウロ州とマットグロッソ州で、それぞれ5年間と3年間、連邦警察最高指揮官を務めた。他にアルゼンチン国ブエノスアイレスブラジル大使館付警察武官に任命。
海軍友愛章、サンパウロ名誉市民号、アラサツーバ名誉市民号、アララクアラ名誉市民号、ロンドノポリス名誉市民号、ソロカバ名誉市民号、軍警察トビアス・デ・アギアル章など数々の勲章受賞。
お仕事内容とACBJについてお聞かせください
-日伯文化連盟はブラジルと日本の文化交流の促進を目的としました非営利文化団体です。
両国間の友好関係が樹立して120周年、ACBJとしましてはちょうど今年で日伯外交関係の歴史の半分の60周年を迎えます。
多くの方達はACBJの設立当初の歴史については知らないので、現在における当団体の重要性を知ってもらう為にこの場を借りて簡単にご紹介したいと思います。ACBJはブラジル、俳句詩の熱烈な愛好者であるために日本文化と非常に強いつながりを持っていた「詩人の中の王子」ギリェルメ・デ・アルメイダの夢から生まれました。
サンパウロ市制400年祭(1954年)の一連のイベント終了後、実行委員会会長であったギリェルメ・デ・アルメイダ、そして山本喜誉司氏を含む各委員会のメンバー達は、その時までに結ばれた絆は永遠に続くべきものであること、そして両国の文化の保存と普及を目的とする様々な活動によって日本とブラジルの友好関係をますます深いものにしていくべきであることと考えていました。
このような流れで、1956年11月17日に、ACBJは設立され、イビラプエラ公園にある、新しく建てられました日本館で定款の署名が行われ、ギリェルメ・デ・アルメイダ氏が初代会長となりました。60年の時を経てACBJはラテンアメリカの中で最大の日本語教育学校になりました。その他ポルトガル語、日本文化におけるざまざまなアート教室があります。現在、二ヵ所(ヴェルゲイロとサンジョアキン)にあり1500人以上の学生が在籍しています。
更にヴィラ・クレメンチノ地区 にあるアルキヂオセサノ学校(Colégio Arquidiocesano)とインテルラゴスにあるサンタ・マリア学校(Colégio Santa Maria )に補習活動として日本語教育を行っています。
2017年末までにはピニェイロス文化センターも完成する予定です。現在、工事は85%ほど進んでおります。ピニェイロス校(文化センター)でも日本語の授業やアート教室が行われます。さらに箏や尺八、三味線といった日本の伝統的な楽器のお稽古や、日本料理教室も行われます。
大城会長ご自身とACBJについてお聞かせください
- 私は、当時のACBJ会長中谷アンセルモ氏と前会長、辰巳ジョ―司法裁判所裁判官からACBJの招待をいただき会長の役を引き継ぐことになりました。承諾した理由はそれぞれの分野で成功した専門家お二人の後継者となることはとても光栄なことであり、受け入れました。今こそ、自分自身の人生経験で学んだことを活かし、本当の日本教育を与えてくれた両親への報恩、そして日系コミュニティに恩返しできる良い機会だと思いました。
ACBJの先生方の優れた活動力、優れたチームワークのある団体であることに驚きました。ブラジルの最大の文化的な団体の1つの会長として楽しく、やりがいがあり、名誉なことと感じました。
ブラジル人と日本文化について
- 昔は日系コミュニティがないブラジルの州も多く、日本人、日系人は珍しがられてました。現在はブラジルの北部のオイアポケ(Oiapoque)から南部のシュイー(Chuí)まで、ブラジル全土で日本の文化がブラジルの日常に打ち解けています。日本料理、漫画、アニメ、芸術など、ブラジル人愛好者の割合は日系人愛好者の割合に近づき、ACBJで日本語を勉強をしている1,500名の学生のうちでも、40%が非日系人です。
したがって、私たちの先祖、日本人の伝統はブラジルに根付き、より広く普及すると信じています。ブラジルには多くの日系団体があり数々のイベントを開催していることが、なによりの根拠です。中には公式カレンダーにのっているイベントもあります。
例えば、サンパウロでは同じ日に同時に3ヵ所でイベントを行われることは珍しくありません。そのイベントを通して親が残した日本の伝統を守って、子孫に伝えて行く使命を果たしています。
茶道とご自身の関係は
- 茶道との出会いは今から20年前、日本への公式訪問の際、東京での茶会に家族と一緒に出席しました。
私自身、茶の湯の持つ穏やかな気持ち、サイレンス、静けさに大変感心したのを憶えております。
今後、機会があればもっとお茶の世界を嗜んでみたいと思っています。
座右の銘をお教えください
-人生は学習
常に人々に耳を傾け、学ぶということ。
全ての人生において学び続けるということ。
お忙しいなか誠にありがとうございました。
インタビュー: 2016年11月
2017年1月