麩饅頭
夏真っ盛りの頃でもさっぱりと頂ける和菓子は色々ありますが、今回はその中のひとつ「麩饅頭」を紹介いたします。生麩の生地で餡を包んだ饅頭で、笹や山帰来(サルトリイバラ)の葉などで包まれ、夏の和菓子屋さんに並びます。
生麩とは、小麦粉の中の植物性タンパク質であるグルテンに、餅粉を加えたもの。生麩はもともと千年ほど前に中国から日本に伝わり、京都の禅寺のお坊さんによって広まったもので、精進料理や京料理によく用いられています。そのためか、麩饅頭も京都の和菓子屋や麩専門店などで多く作られているようです。高たんぱくで低カロリーなヘルシースイーツと言われたりもします。
生地には青のりが練りこまれ、ほんのり緑色をしています。餡はこし餡が多いですが、つぶ餡や味噌餡のものも。生麩の生地はとてもデリケートで、強い蒸気で蒸すと割れてしまうため、職人の経験が必要とされるのだとか。
青々とした笹の葉を広げると、そのみずみずしい香りとともに、つるりとした饅頭が顔を出します。もちもちの生地は青のりの香ばしさが爽やかで、なめらかな餡との相性も抜群。冷やして食べるとよりのどごしが良く、食後のデザートにも最適です。
2018年8月