栗蒸し羊羹
実りの秋・食欲の秋には、秋の美味しい食材を生かした季節の和菓子も見逃せません。「栗蒸し羊羹」は、新栗が出回る秋から初冬にかけて店先に並びます。
これに似たものに「栗羊羹」がありますが、この二つは別物。羊羹は、水に寒天と砂糖を煮溶かし、餡子を加えて煮詰め、型に流し込んで固めたもので、固める段階で栗を加えたものが栗羊羹。糖度が高く、水分が少ないため日持ちします。一方、蒸し羊羹は、小豆あん・小麦粉・片栗粉・水を混ぜ合わせた生地を型に流し込み、その名の通り蒸して作ります。蒸しあげるときに生地に栗を加えたものが栗蒸し羊羹で、水分を多く含み、羊羹と比べて糖度も低いため、一般的にあまり日持ちしません。
どちらも栗を活かした美味しい和菓子ですが、栗蒸し羊羹の特徴はその柔らかさともっちりとした食感。むっちりとした生地の中に、ごろんと栗の食感を楽しめます。甘さ控えめなので、甘いものがあまり得意でなくても栗蒸し羊羹はお好き、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。竹の皮に包んで蒸しあげられるものも多く、竹の香りにも風情を感じます。秋の実りを素朴に味わう季節の和菓子です。
2018年10月