~ 一盌からピースフルネスを ~

5. 菊

 菊は日本の皇室の紋章であり、日本一の出荷量を誇る花です。
 菊は、キク科の多年草で、日本の代表的な花です。主に秋に咲き、多くの種類があり、大きさにより大菊、中菊、小菊と大別されます。

 菊は古く中国より渡来しました。9月9日は、〈重陽の節句〉といわれ、別名「菊の節句」ともいい、菊の花で不老長寿を祈願します。この〈重陽の節句〉には、「菊尽くし」を楽しむのも面白い趣向です。菊酒、栗ご飯、秋茄子等食します。

 菊の日本文化への浸透は、桓武天皇が791年に催した「菊合わせ」に見ることが出来ます。「菊合わせ」とは、人数を左右に分け、双方から菊の花を持ち寄って、その美しさを競いあう遊戯です。いわば「歌合せ」の菊版といえましょう。この「菊合わせ」は、江戸時代(17世紀~19世紀)には庶民の間で盛んに行われるようになり江戸時代の中期、後期の特に文化年間(1804~1818年)には、菊の花と葉でつくった見世物、菊人形がはじまります。
 この人気は明治に入っても衰えず、現在まで続いています。

 山形県では、食用菊「食用菊~もってのほか」があります。その独特の風味と味の良さは、「食用菊の王様」ともいわれ、名前の由来は、「天皇のご紋章の菊を食べるとは、もってのほか」からきております。
 此の食用菊は、正式には、”延命樂えんめいらく”という品種です。
 さっと茹で、和え物.酢の物、おひたし、てんぷら、吸い物に使います。

 この天皇家の御紋章は、《十六弁八重表菊紋》といわれます。

 ブラジルの日系農家でも菊造りは盛んで、見事な大輪を栽培しておられます。
 菊の別名リョウリギクの菊花は、薬用として、めまい、解毒耳鳴り、腰痛咳止めに用いられます。

 イタリアのプッチーニの弦楽四重奏に〔CISANTEMI〕(菊)という曲目があります。

2019年10月