和室 – 玄関
今回、和室コーナーを新設いたしました。
和室は伝統的な日本の家屋に特有の、畳を敷き詰めた部屋です。
和室の中心になる部屋には床の間があり、空間は障子や襖で囲まれています。和室は机を置けば居間や書斎に、布団を敷けば寝室に、もちろん茶室としても、その用途をさまざまに変えることのできる多目的空間です。日本人にとって伝統的な生活空間である和室について、一部茶室の例も交えながら、その構造についてご紹介していきたいと思います。和室を知ることで茶道、及び日本文化をより身近に感じていただければと思います。
第一回目は「玄関」について、解説します。
玄関
日本では家の中で靴を脱ぐ習慣があるので、玄関には土間と呼ばれるスペースがあり、そこで靴を脱ぎます。その先には段差があり、家の中は一段高くなっているのが一般的です。これは日本が湿気の多い気候で、地面からの湿気で土台、柱や床などがカビたり傷んだりするのを防ぐためです。来客はこの段差部分に腰かけて雑談したり、簡単な用事のときは家には上がらずに玄関で済ませることも多いのです。日本人の感覚として、靴を脱いで段差を上がることが外の空間から内の空間に入ることを意味します。日本の玄関はただ部屋へと通じる入口ではなく、コミュニケーションの場、そして家の中でありながら外と内の境界が存在する、大切なひとつの部屋と言えるでしょう。
ちなみに「玄関」という名前の由来は、もともと仏教語のひとつで「玄妙な道に入る関門」というのが語源です。「玄」は奥が深い悟りの境地を意味し、「関」は入り口を示しています。つまり、奥深い仏道への入り口という深い意味があるそうです。大事に綺麗にしなければと思ってしまいますね。
- 土間(どま)
靴を脱いだり履いたりする床の総称として使われています。 三和土(たたき)ともいいます。もともとは「屋内の土の床」を意味したのが土間でした。 - 上がり框(あがりかまち)
上がり口の床の段差に水平に取り付けられた横木を「上がり框」といいます。玄関の上がり口は、土間と段差があるため、靴を着脱するときの腰掛け代わりとしても使われています。 - 式台(しきだい)
土間と床との段差が大きい玄関には上り下りがしやすいように、土間と上がり框の中間に式台とよばれる式板を設置することがあります。式台の由来は、武家屋敷にて来客者が地面に降りることなく、駕籠に乗れるよう設けられた板の間からきています。また、式台の代わりに沓脱石 (くつぬぎいし)という履物を脱ぐ石の台を置くこともあります。茶室の躙口(にじりぐち)にもこの沓脱石が置いてあります。 - 取次ぎ
靴を脱ぎ上がったスペースを「取次ぎ」といいます。現在では玄関ホールと呼ばれています。
2018年4月