~ 一盌からピースフルネスを ~

12. 焼く・焼き物

焼き魚は強火の遠火でさっと焼くのが原則

 魚を焼くときの火加減は、「強火の遠火」といわれる。弱火だと、魚に火が通るのに時間がかかって、そのあいだに水分が蒸発し、パサパサしてしまう。また強火でも火に近付けて焼くと中に火が通る前に表面が焦げてしまう。

 ただ身の薄いものは、むしろ近火で焼いたほうがよい。水分が早く抜けるので、遠火にすると時間がかかって、パサついてしまうからである。

 焼き方も、表面はパリッと、中はやっと火が通ったくらいにするのが、原則で、香ばしく、かつしっとりとしたおいしい焼き魚が味わえるが、魚の種類や鮮度などによって、多少焼き方を変える必要がある。例えばさばなどは、しっかり火を通したほうがうまみが出ておいしい。脂気が多く、繊維も短いため、よく焼いてもカスカスせず、硬くならない。むしろ脂分が全体に回ってうまみが増す。また鮮度があまりよくないものは、充分に火を通す必要がある。

 又、魚を串打ちして焼くときは途中で串を回しておく。串を打って焼いたあと、串を抜こうとしてなかなか抜けず、何とか抜いたときには、魚の形が崩れてしまった経験もあると思います。魚は焼くほどに身が縮んでくるので、串を打ったまま放りっぱなしにして焼き続けると、串に身がくっついてしまい、抜けなくなる。

 こつは、焼いている途中、火が通って身がしまり始めたころに一度串を回し身と離しておくとよい。まだ生のときは、串に抵抗なくクルクル回るが、火が通りかけた時点でやや抵抗が出てくる。これは火の通り加減をみる目安になるとともに、串を回すタイミングでもある。

 タレをかけた魚を串打ちして焼いたときも、もう一つ気を付けたいことがある。タレをかけながら焼くので、どうしても串にタレが付いてしまい、そのまま焼くと、串の通ったあとの身に焦げたタレが付いて苦みがつき、見た目にも汚くなる。刺した身より先の方に付いた串の汚れは、抜く前にきれいにふきとっておく。

 

切り身の串打ち

基本的には身の真ん中を通す
身の薄いものは両端の皮目に串を通す

2017年5月