~ 一盌からピースフルネスを ~

13. 焼く・焼き物

 鯛のように大きな魚の姿焼きは、表面を丁度よい頃合いに色付けつつ、中までちゃんと火を通すように焼くのはなかなか難しい。

 

鯛の姿焼きは塩水に漬けてから紙をかぶせて焼く

 鯛くらいの大きさになれば一般の魚の様にただ塩をふって焼くという事はしないで塩水に1~1,5時間ほど漬ける。この塩水は「立て塩」といって海水程度の塩水にだし昆布を入れたものを用いると、うまみが増しておいしい。漬ける前に表面に細い串でぶつぶつと細かい穴を開けると塩が回りやすい。その後冷蔵庫で2~3時間冷蔵庫において余分な水分を抜いてから焼く。

 火にかけると表面と内部の温度差を少しでも解消し、内部まで火が伝わる時間的な余裕を与えるために濡らした紙かアルミホイルをかぶせて焼く。焼いている間に皮が火ぶくれすれば、串でつぶして空気を抜く。

 すぐに食べるのであればやっと火が通ったくらいのがおいしい。そうでなければ充分に焼いておかないと徐々に水分が出てくる。また、串は冷めてから抜く。熱いうちに抜くと、形が平たく戻ってしまう。

 また、姿焼きの魚は、体をうねらせるように形付けで串を通す。「おどり串」とか「うねり串」といい、泳いだりはねたりする姿に見立てて活きのよさを強調する。
 ポイントは、盛りつけたときに表になるほうには串を出さないこと。それと、骨を一度は越えること。骨を串が縫うように越えていないと、焼いている途中で身が落ちて、形が崩れてしまうためである。また鮎のように、特に一尾の姿を美しく焼き、かつ内臓の苦みを味わう魚は、内臓を傷つけないように背近くに串を通す。小さい魚の場合、串は一本刺せばよく、そのときは何尾か添え串でつないで焼くと効果的。幅の大きい魚は2本刺す。

 

2017年7月