14. 焼く・焼き物
姿焼きの焼き加減は 目玉と尾の付け根でみる
切り身の魚の焼け具合は、火が通ってくると刺した串を回した時に手ごたえが出てくるのでおおよそわかる。だが、姿焼きの場合は、骨を縫うようにして串を刺しているため、串を回したときの抵抗感が常にあって、焼き上がりの目安にならない。
特に鯛のように大きいものになると、皮は香ばしく色付いていても、中はまだ生焼けということも多々あり、包丁を入れてみるわけにもいかない。
では、何で判断すればよいだろう。
実は、姿焼きの場合は目玉と尾ひれの付け根で判断できる。まず目玉が真っ白になっていれば、頭から腹にかけて火が通っている。尾の部分は、尾ひれの付け根を背側と腹側から縦につまんでみる。まだ生焼けの時は指先に骨が当たらないが、火が通っていれば骨が当たる。身の真ん中は、金串を刺してみる。数秒刺しておいて抜き、刺した部分の中央を唇の下に当てる。熱くなっていれば焼けている。
魚の姿焼きはひれに塩を付けて焼く
店に出される姿焼きの魚には、たいていひれに塩が振られている。化粧塩といわれる通り、美しく見せるためである。塩をせずに焼くと、真っ黒に焦げてしまうが、塩を付けておけば形のまま残り、姿がよい。尾ひれだけでなく、腹びれ、背びれにも忘れずに塩を付けておく。ただ、胸びれと尾ひれは火のほうにたれ下がって焦げやすくなるので、様子をみてアルミホイルで包んだほうが無難。
また塩は炒って水分を飛ばして、さらさらにしておくときれいに付く。鯛の場合は焼く前に冷蔵庫にしばらく入れておくので、ひれが乾いている。そこで、ひれに水を当て湿らせてから乾いた塩を付けないと、きれいにくっつかない。
ところで鮎や小魚は化粧塩をする必要はない。特にあゆはひれを食べるので、化粧塩をすると塩辛くなって、香りが楽しめない。大きい鮎で頭から食べられない場合は、尾ひれだけに塩をして焦げるのを防ぐようにする。
2017年9月