~ 一盌からピースフルネスを ~

4. おいしいコツあれこれ <だしの取り方>

 今月から数回「おいしいコツあれこれ」で、まずだしの取り方を紹介します。

 

(1)精進料理や潮汁に用いる昆布だけを使っただしの場合

 昆布だしを取るときは、火にかげず水に浸して取る

昆布 日本料理で、昆布とかつおを使った一番だしは最も基本的なだしであるが、この昆布だしはまた、真薯をゆでたり、魚のすり身をのばすときにも用いられる。上品な味に仕上げたかったり、あるいは材料となる魚のうまみを大切にする潮汁のように、かつおの味を必要としない場合に使うだしである。昆布だけで取るので、なるべく質のよい昆布を使い、昆布のうまみを最大限生かすように取ることが大切である。
 覚えておきたいことは、他のだしのように火にかけて取るということはしないということである。加熱することによって、昆布独特のぬめりや臭みが溶け出してしまうので、風味のよいだしが取れない。昆布を水に漬けて、5~6時間置いておく。夏は冷蔵庫に入れておくほうがよい。昆布は水に漬ける前に洗ってしまうとうまみが溶け出してしまうので、固く絞ったぬれ布巾でさっとふくくらいにしておく。用いる分量は2リットルの水に対して80グラムが適当。
 用いる昆布は分厚くて幅広く、濃い暗緑色でつやのあるもの。よく乾燥していて、表面に白い粉が多くふいているものがよい。この白い粉はマンニットと言われる昆布の味の成分である。最高級品は真昆布(山だし昆布)で、家庭で使う場合は真昆布よりやや小型で濃厚なだしが取れる利尻昆布が適当だろう。煮物や佃煮には、細身で柔らかい三石昆布(日高昆布)が適している。

 

(2)懐石料理で使う一番だしの場合

 汁を味わう一番だしの取り方は椀盛や炊き合わせ等に使う繊細なもの

かつお節 鍋に水をはり、だし昆布を入れて弱火で沸騰するまでおよそ12、3分間火にかける。沸騰直前に昆布を引き上げ、水を少し入れて沸騰を押さえてからかつお節を思い切り沢山入れる。かつお節が鍋底へ沈んでしまわないで、中途から浮きき上がってきて沸騰する直前に火からはなしてこす。

 

(3)二番だしの取り方

 味の強いものを煮るときや下煮に使う二番だしの取り方

 一番だしをとった昆布とかつお節をなべに入れ、一番だしの時の約半分の水を入れて沸騰させる。沸騰したら火を小さくして5分ほど煮る。 昆布を引き上げる。水嚢でこす。水嚢に残ったかつお節を玉杓子などでおさえて、しっかりしぼる。

 

(4)煮干しだしの取り方

 煮干しだしは水出ししてから煮出す

煮干し 味噌汁や煮物のだしには、かつおより濃厚な味が出る煮干しを使ってもよい。ただすましの吸い物には適していない。煮干しは色が白く腹の割れていないものを買う。買ったらすぐ頭と内臓を取ってしまい、乾燥している所に保存して置く。これは頭や内臓から痛んでくるため。また、だしを取る時、頭や内臓をつけたままだと濁りと苦みが出る原因となる。煮干しは臭みを取るためにも、軽くフライパンなどで、炙って使う。
 煮干しのだしは30分から1晩水に漬けてから煮出して取る(昆布を入れても良いが)。次に火にかけるが、3分から10分煮てアクを出すこと。沸騰してくるとアクが出てくるのできれいに取り除き、ひと煮立ちしたら火を止めて、布濃しする。

※ その他あごだし(とびうお)、あじ、さば、椎茸などを使っても良いだしは取れる。

2015年11月